財政を圧迫する医療費の現状

医療費の最大の問題は、医療の必要な高齢者が増え続けて医療費財政を圧迫していることです。
2025年には団塊の世代の全てが75歳以上の後期高齢者になり、後期高齢者医療制度に加入します。
後期高齢者制度の利用者にかかる費用は、国民平均の3倍にも上るため財政を圧迫することは必然的と言えるでしょう。
こうした事態を国民負担によって打開するためには、国民全体が支払う保険料を上げるか、高齢者の自己負担割合を増やすしかありません。

しかし、長く1割負担だった医療費の負担割合は3割が平均となるまで引き上げられており、これ以上負担を増やすのは限界があるでしょう。
年金受給者がほとんどを占める高齢者の負担を増やすのも問題です。
そこで、健診の受診を徹底し、ガンなど治療費が高額になる疾病の早期発見を促進することが必要になります。
また、健診を受診すれば、生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームの指摘と改善のアドバイスが受けられるようになるでしょう。

ところが、現状は健診が徹底しているとは言えません。
企業などに勤める健保加入者の健診受診率は7割以上と高いものの、個人事業主など国保加入者のうち、特定健診を受診する人は3割程度しかいません。
企業では健診の結果の提出を義務付けている所が多く健診受診率も高くなる傾向がありますが、個人事業主が健診を受けるかどうかは自主性に任されているのが主な要因です。
さらに健診を受けて生活習慣の改善に向けたアドバイスを得ても、実際に改善案を実行している人がどれほどいるのか把握されていません。
長期的に追跡調査するシステムが未整備のため、今後の課題は山積みと言えるでしょう。